Webサイトの利用規約の作り方 – 有効にするための表示方法

前回のエントリーで、基本的には同意クリックがあれば規約は有効ということがわかりました。具体的に、どういう表示方法なら有効なのか調べてみました。

目次

聞いてないよ!

その前に、規約を読んでいなかったばっかりに起こったあんなことや、知らないうちに判を押してしまっているそんなことを紹介します。

CASE1 ワンクリック契約 – Wikipedia
「聞いてないよ!」の典型的な例、通称ワンクリック詐欺
CASE2 パケット代 「定額」なのに高額請求 携帯通信料のトラブル注意 – Sankei WEB
ウィルコム感覚で使ってしまったのでしょうね。読まない方が悪い/説明しない方が悪いという世論が半々のようです。
CASE3 ソフトバンク携帯|軽い気持ちで電源を切ると恐ろしい事に・・・。
こちらも上記同様知らずにやってしまったら大変なことになってしまいます。
CASE4 よくできたGoogleのブランド使用規約 – 法務だけど理系女子の綴るblog
これは知らない人が多いのではないでしょうか。特にブログをやっている人には一読をオススメします。 
CASE5 ブログの著作権は誰の物? – [IP]: 掲示板
2001年頃のジオシティーズからはじまり、 2005年頃のブログ書籍化ブームに関する著作権帰属先問題等の話題がまとまっています。最近だとドリコムブログライブドアブログと同じ事をやろうとして物議をかもしたということがあったようです。
CASE6 だれも契約書を読んでいない – スラッシュドット ジャパン
規約にまつわる小話。 

他にも色々とあると思いますがこのへんで。

「聞いてないよ」と言わせないためには

上記のようなことが起こらないようにできるだけのことはしておきたいものです。

まず、法律に基づいて約束を交わすと言うことは法律用語で「契約」ということを知りました。ということは、契約について定められている部分をみればよさそうです。

結果、以下の部分が特に関わってくるということがわかりました。

さらに経済産業省の策定している『電子商取引に関する準則』という具体的にこう表示しないといけないよという説明書が用意されていることがわかりました。

ここでひとつ疑問が生まれました。上記の法律見てみると、お金の絡んでくる契約について言っているようでした。サービス提供側が非営利目的の個人サイトの場合でも有効なのでしょうか。

★この疑問ついてはハッキリわからなかったため、課題として保留してとりあえ上記の法律に従って作ってみることにします。

規約を有効にするための表示形式とは

電子商取引に関する準則より

どういう場合なら利用規約が有効なのか、無効なのかについてみてみたいと思います。(P6から引用)

○セーフゾーン

(サイト利用規約が契約条件に組み込まれると認められる場合)
・ウェブサイト上で取引を行う際に必ずサイト利用規約が明瞭に表示され、かつ取引実行の条件としてサイト利用規約への同意クリックが必要とされている場合。

△微妙ゾーン

(サイト利用規約が契約条件に組み込まれるか否かに疑問が残る場合)
・ウェブサイト中の利用者が必ず気がつくであろう場所にサイト利用規約が掲載されている(例えば、取引の申込み画面にサイト利用規約へのリンクが目立つ形で張られているなど)が、サイト利用規約への同意クリックまでは必要とされていない場合。

×アウトゾーン

(サイト利用規約が契約条件に組み込まれないであろう場合)
・ウェブサイト中の目立たない場所にサイト利用規約が掲載されているだけで、ウェブサイトの利用につきサイト利用規約への同意クリックも要求されていない場合。

民法95条より

上記のセーフゾーンの表示方法であればたとえ間違いクリックでも有効なのでしょうか?

(錯誤)
第95条 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

民法 から引用 

これをWeb上での契約にあてはめて平たくいいなおすと、

  • 原則 誰がどう見ても勘違いや間違いを起こしてしまうような内容や表示方法だったりした場合は申し込みは無効
  • ただし書き 規約を良く読まずに申し込んであとから「無効だ!」と言っても無駄無駄

ということらしいです。でもこれには特例があって、以下のような場合ではユーザー側の主張が通るそうです。

電子消費者契約法3条より

一  消費者がその使用する電子計算機を用いて送信した時に当該事業者との間で電子消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を行う意思がなかったとき。
二  消費者がその使用する電子計算機を用いて送信した時に当該電子消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示と異なる内容の意思表示を行う意思があったとき。

電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律 から引用

平たくいいなおすと、「うっかりクリックや勘違いクリックの場合は特別になかったことにできるよ」ということらしいです。でもこれではユーザー側がウソをついて「うっかりやってしまった」と言えばキャンセルし放題になってしまいますよね?

そうならないために以下のようなただし書きがあります。

ただし、当該電子消費者契約の相手方である事業者(その委託を受けた者を含む。以下同じ。)が、当該申込み又はその承諾の意思表示に際して、電磁的方法によりその映像面を介して、その消費者の申込み若しくはその承諾の意思表示を行う意思の有無について確認を求める措置を講じた場合又はその消費者から当該事業者に対して当該措置を講ずる必要がない旨の意思の表明があった場合は、この限りでない。

電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律 から引用

つまり、申し込みの際に「本当に申し込むんですね?」ともう一度確認を求めた場合は、あとで無効だと言われても主張が通りにくいよということ。

結局どうすればいいの?

これらをまとめると、申し込み画面には

  • わかりやすいところにハッキリと利用規約を表示すること
  • 「規約に同意」ボタンを用意すること
  • 確認画面を用意すること

が必要ということです。会員登録制のサイトによくあるように、登録の際に規約が表示され、同意クリックをしないと先に進めないような仕組みを作らなければならないでしょう。

次回は、具体的に文章をどう書けば有効になるのか?についてみていきたいと思います。

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