前回のエントリーで、規約を有効にするための表示方法(外見)は分かりました。では、規約の文章(中身)はどう書けばいいのでしょうか?
×長くて難しすぎる文、紛らわしい文はダメ
消費者契約法3条第1項は、事業者に対して消費者との契約が「明確かつ平易なもの」となるように配慮する努力義務を課している。<中略>しかし、長文難読な表現が使われることにより利用者に不利益な条項が隠蔽されてしまい、消費者にとって容易に理解できなくなっている場合には、信義誠実の原則や消費者契約法の規定の趣旨から、このような「長文難読な表現によって隠蔽された」不利益条項の効力は否定される可能性がある
『電子商取引等に関する準則』から引用
…とあるように、あまりに難しすぎる表現でごまかそうとしているような場合には無効になる可能性もあるということです。
実際に作ってみてよくわかったのですが、準則にもあるように、きちんとしたものを書こうと思ったらどうしても長くなってしまうんですよね。
この規定はあくまで「努力義務」を定めたものであるし、取引内容や条件が複雑である場合には、サイト利用規約が長文で複雑なものとなることは避け難い面があり、単に規約の文章が長すぎたり複雑であることを理由として直ちに取引契約の内容に組み込まれたサイト利用規約の効力が否定されることはない。
『電子商取引等に関する準則』から引用
だから、さらに詳しい説明が必要な部分は別にガイドラインを用意したり、各所にイラストを入れたりしてわかりやすくすることが必要だと思います。
なお、サイト利用者にとってサイト利用規約が「明確かつ平易なもの」といえるか否かを判断するについては、サイト利用規約それ自体の記述はもちろん、サイト内での取引条件についての補足説明(例えば、取引の流れについての説明や、図説、説明イラストなど)を含めてサイト利用者に対してウェブサイト上で提供されるサイト利用規約に関する説明自体が総合的に考慮されることになる。
『電子商取引等に関する準則』から引用
×事業者側に落ち度があるにもかかわらず責任を負わないというのはダメ
消費者契約法第8条は、事業者の消費者に対する債務不履行責任、不法行為責任、瑕疵担保責任等の損害賠償責任を全面的に免責する条項を無効としている。
これに対して、責任の一部制限(例えば上限の設定など)は消費者契約法のもとでも基本的には無効とはされていないが、事業者側の(代表者又は従業員の)故意・重過失による責任については一部であっても免除・制限は消費者契約法第8条により無効とされている。
『電子商取引等に関する準則』から引用
わざと消費者に不利益を与えるようなことはめったにないと思いますが、そのようなことがあった場合に一切責任を負わないというのは許されないということです。
余談ですが、いろいろな規約をのぞいてみると、ギリギリまで事業者側に有利になるように書かれているなぁと感じました。(当たり前といえば当たり前ですが)
×不当なキャンセル料を定めても無効
消費者契約法第9条第1項は、消費者との契約につき、契約解除(キャンセル)に対して「同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える」キャンセル料を想定したとしても、当該平均的な賠償額を超える部分についての約定は無効であると規定している。したがって、消費者からのキャンセル料から利益を得ることは、これによって禁止されることになる。<中略>また、同法第9条第2項は、消費者に対する遅延利息の上限を年率14.6%に制限している。
『電子商取引等に関する準則』から引用
Webサービスの場合無料のサービスが多いので定める事も少なそうですが、もし定める場合は高すぎるのはダメということです。
×消費者の利益を一方的に害するものは無効
消費者契約法第10条は、民法、商法その他の任意法規(契約により適用を排除できる法規)に比して、
消費者の権利を制限し又は義務を加重する条項であって、消費者の利益を一方的に害するものは無効とする旨
を定めている。これにより無効とされる可能性がある条項としては、以下のような物が挙げられる。
『電子商取引等に関する準則』から引用
5つ例が挙げられているうち4つはまずしないと思うのですが、3番目の条項は使う機会がありそうです。例えば、レンタル掲示板などにあるように「3ヶ月以上書き込みがなければ削除しますよ」みたいなのはいいのでしょうか。おそらく、そんなにむちゃくちゃなものでなければいいと思うのですが、どうなんでしょう。これも課題として保留しておきます。
どういう内容が無効になるのかがわかりました。次は具体的にどんな内容を書けばいいのかをみていきたいと思います。
コメント